学部4年
青木 聖也|AOKI Seiya
頭上を通り過ぎるビルディング、スピードに合わせて視野が狭まる感覚、風。 僕は乗り物に乗って観る風景が好きだ。 しかし、その風景が「映像」というフォーマットに落とし込まれてしまうと、 その魅力は途端にスポイルされてしまう。 本来ならば、移動という行為、そこから観える風景は 「経過時間」や「移動距離」といった、付帯条件を伴うもの。 それが映像になると、「瞬間」は、1枚の画像として処理され、 前後のコンテクストは取り払われてしまうのである。 風景、「風」という目に見えない「景色」を観る。 この作品では、「経過時間」や「移動距離」といった、本来眼に見えないものを視覚化することを目指した。 大きさの異なる10枚の額縁状のスクリーンを空間に配置、それぞれのスクリーンに映る映像は、 奥にいくに従い0.3秒ずつ、時間がずらされている。 10枚で3秒間。この作品は、3秒間分の、移動風景となる。
青山 優歩|AOYAMA Suguho
ある時、東京を歩いていると、 縦に細長いビルとビルの間から太陽が スポットライトのように目の前から照らしてきた。 もし、そのビルとビルの間に”空き ”がなかったら、 私は都市の中の大事なものの存在に気がつかなかった。 このように、日本の都市の中には、 建物と建物に挟まれ、細長く切り取られた空間がいくつも存在する。 その中で私は、デットスペースとなっている空間、 そして向こう側に少しでも光が見える、抜けのある空間を、 都市の中の「空き間(すきま)」と呼んだ。 昼間には日が差し込み、夜には暗くなる、 あるいは街灯や建物の明かりがかすかに入り込み、 都市によっては完全な暗闇にはならない。 動く事のない建物と建物の間の中で、 その都市その都市の時間が、確実に流れている。 空き間は、都市の一つ一つの建物の存在を際立たせる。 同時に、その個々の建物を繋げる役目も果たしている。 空き間は、日本の都市にとって根っこの様な存在である。
阿部 圭佑|ABE Keisuke
無くなって初めて気付くことがある。 それは『私の部屋』という超個人的日常空間においても。 物から物へ移動する私の意識を新たな空間の外枠にする。 機能の正面だけが空間内に留まり、それ以外は排除される。 歪んだ部屋に感じる違和感を創り出したかった。
島崎 春佳|SHIMAZAKI Haruka
普段見ている景色や 感じている光 ぬくもりを わたしが集めて来た廃材を介在させ 変化させることで ここをここであって ないような空間に変化させた。
島田 浩輔|SHIMADA Kousuke
自邸
匿名的な空間の中で日々を過ごすということが日常となった。 例えばアパートは、どんな料理にでも合う器の様に幅広く多様な人の生活を受け入れる。 私はいつでもそのような場所が怖かった。 たとえそれがどんなに『プライベート』と呼ばれる空間であったとしても。 本来、自邸とは自らの手で作られた自身の分身のような存在であったはずだ。 自邸を建てるという行為は、自身を分解していかなければできない。 自分と空間が譲り合う点、環境と自分との距離。を発見し繋いでいくことで 早く安心したかった。
松明 佳菜|MATSUAKI Kana
記憶都市
-----H2400×W3000×D3000(mm)
ポリエステルフィルム、スプレー、LED懐中電灯-----
世の中に多様に広がる人や文化。 自分の知らないことが散らばる場所は興味の他に不安を呼び寄せる。 私が誰かを“おいかける”のは、日常空間とは異なる力を放つ その場所に関われる方法だったから。 そうやってこれまで見えない不安を地図という形に変えて自分の中に残していった。 ここは生まれてから一歩一歩を重ね、これまで描き続けてきた、私の中に存在する地図である。
村上 慧|MURAKAMI Satoshi
小平マンション