森に行きましょう。
そこに響き合う、幾つものの論理、幾つもの旋律に、耳を澄ませ目を凝らしてみましょう。
例えば、羽ばたいてきた鳥が枝に留まり、その枝を風が揺らし、差し込む陽光とその枝によって創られた陰には網目が貼り巡らされ、そのネットに引っかかっている雨の雫と虫を求めて蜘蛛が顔をだし、その蜘蛛は鳥の羽ばたきによって地上へと落ちるかもしれません。それら全体を一つの仮枠で捉えれば、異なるもの同志が離れたり繋がることで奏でられる、森としてのポリフォニーをみてとれるでしょう。また、それら個々の内側へと進めば、そこには更に複雑で多様なマンダラ的宇宙をみることもできます。
土を手にとれば、そこに土という存在はなく、無数の鉱物、有機物、気体、液体、生物などが同時に共存しているのです。
森から大学に戻ってきて、改めて、耳を澄ませ目を凝らしてみましょう。
そこに広がっているのは、まさに森に見出したポリフォニーであり、マンダラ的宇宙ともとれないでしょうか。
無数の主体がその内側に無限を抱えながら、それぞれが異なる表現、異なるトポロジー、異なる論理として実現され、それらは時に繋がり、時に離れながら響きあっているのです。
本年度の設計計画IVでは、以下の2タームで課題を進めます。
❶【個人課題/ 4.25 [日] – 5.6 [木] まで12 点】
まず、森に行きます。そこで1日を過ごし、その体験を携えた状態で、大学内を見つめ直します。
そこから「森」をテーマにした1日1作品制作と、「大学」をテーマにした1日1作品制作とを、毎日交互に12日間行います。
❷【グループ課題】
上記で制作した個々の作品と思考を元に、森と大学の間に結ぶことができる共通項(実存的なものも概念的なものも含む)を導き出し、その共通項をベースに、森と大学内のそれぞれに、相互に強い関係性をもった空間を制作します。
それぞれの空間の中には学生個々の表現を含むこともあるかもしれません。ただし、それらの表現が、一つの系としての空間表現としても成立し、更にそれがもう一方の空間(森と大学)との相互関係によって、更に飛躍したものになることを目指します。
1) 森を見つける
2) 森をあぶり出す
3) 実制作
※この課題では、明確なゴール地点・アウトプットの形式や方法も含めて、その全てを課題を進めていく中で見出される森と大学との関係性によって、最適なモノを選択していこうと考えています。
※空間制作のスケジュールについては調整中。前期期間内での調整が難しい場合は、夏季休業中もしくは後期にずれ込む可能性もあります。その場合、前期最終成果物には、その計画案を含むものとします。