ARCHIVES-2019

サイトスペシフィックの拡張

一つの場所には、空間・歴史・環境・文化・社会・政治などなど様々な性質の文脈(コンテキスト)が密接に結束しあっています。この世界が多様であればあるほど、それぞれの場所における文脈の結束は唯一無二の《固有性》を帯び、と同時に、個々の文脈は常に更新を続けるものであるために、それは《可塑的》なものともいえます。
高度経済成長期以降、世界的にも場所性の欠如が懸念される時期を経て、近年では建築の世界はもちろん、美術の世界における様々なサイトスペシフィックな作品群やプロジェクト、そしてまたコミュニティデザインをはじめとした社会形成のあり方においても、場所の文脈を入念に読み込み、その《固有性》を再認識するといった試みは、あらゆる形で行われてきています。

 

本年度の設計計画IVでは、こうした場所における《固有性》を皮切りにしながらも、もう一つの特徴である《可塑性》に対するアプローチを行いたいと考えています。
個々の文脈を入念に見つめながらも、それらの“結束点の位置”や“結束のしかた”に対して重きをおくこと。その時、自身の視座をミクロにもマクロにも柔軟に移動させること。こうした試みによって、場所が持つ文脈の構成要素は元の文脈からも解き放たれ、偶発的な繋がりの中で新たな意味を帯びはじめます。
一つの場所に対する濃密な会話の中から、これまでにない新たな場所性の創出を目指す。それは最終的な物理的作品はもちろんのこと、そこに至る過程において獲得しうるであろう、世界に対する固有の視座の獲得をも含まれています。

課題内容と進め方

ある場所を対象として、空間・歴史・環境・文化・社会・政治などなど様々な性質をリサーチしていく。
その際、 場所性の一要素を徹底的に深堀りすることでも良いし、複数の要素の結びつきを無限に拡張することでも良い。
上記リサーチと“1人1日1作品制作”を踏まえ、1/1スケールでの作品の制作を行う。
自分自身の思考と表現を通すことによって初めて顕在する場所性の獲得を目指すこと。

揚妻 潤|AGETSUMA jun

井上 莉彩|INOUE Risa

勝岡 萌|KATSUOKA Moe

狩野 涼雅|KANO Ryoga

佐々木 慧|SASAKI Kei

星原 達希|HOSHIHARA Tatsuki

三角 まどか|MISUMI madoka

山口 卓巳|YAMAGUCHI Takumi

渡邉 優奈|WATANABE Yuna