この世界に存在する無数の芸術表現は、その一つ一つが、ある一つの時代を映し出しながらも、過去から現在そして未来へと連綿とした繋がりを持っています。それは芸術表現というものが人と世界との関わりにおける反射であり痕跡であるからこそ、異なる時代すらも超越し、絶えず更新されながら受け継がれていくのでしょう。つまり、過去に表現者として個人を確立した作家の作品には、現時代における私たちの表現の根幹ともなり得る“種”を見いだすことができるともいえます。
本年度の設計計画Ⅳでは、「敬愛する過去の作家の一つの表現」を選択し、その表現との「濃密な会話」の中から「自分自身の表現行為における動機(=種)」の一端を見つけ出し、それを「現時代における自分自身の一つの表現として結実させる」ことを目指します。
そこには「時代を超えた表現の交差がもたらす、未知なる表現」が創出するでしょう。
課題内容と進め方
「敬愛する過去の作家の一つの表現」との入念な会話・リサーチ
その表現の方法論や意味などのリサーチに留まらず、その時代背景・社会的風潮や、作家の人生におけるどのような時期におけるどのような心境による表現なのか、などといった、作品の背景も含めてリサーチを行う。
「本制作」
上記リサーチと“1人1日1作品制作”を踏まえ、自分自身の表現行為における動機を発見し、それに基づき1/1スケールでの作品の制作を行う。
最終的には、展示空間として自身の表現に最適な場所を学内の任意の場所から選び、リサーチ対象との表現の交差を表出させるような展示を行う。